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翌日、三人は母の見舞いにいってから軍へ向かうことにした。
「お母さん、意識戻ったのかな」
レフィアが不安そうに言う。
「大丈夫だよ。即死するような病気じゃないんだから」
クランツが微笑んだ。
家から病院までそう遠くはなかったので、2、30分歩いていると着いた。
やがて、クランツが母のいる病室のドアをあける。
「母さん」
すると、一人の女がベッドに横たわったまま顔をこちらに向けた。
「フィンレイ・・・・ティトレイ・・・・レックスも来てくれたのね」
母の意識は戻っていた。
「お母さん!」
レフィアがベッドへ駆け寄る。あとの二人も続いた。
「お母さん、大丈夫?」
「大丈夫よ。心配かけてごめんね」
クランツがううん、と首を振る。
「いいんだよ。あのね。俺達、レックスと一緒に王都で働くことにしたんだ」
「王都で!?まさか・・・・軍隊なんて冗談はやめなさいよ」
「・・・・そのまさかよ。ほかに働く所がないんだもの。でも人の役に立つことだから、良いわよね?この所戦争も起きてないし」
カトレアは暫く黙ってしまったが、やがて口を開いた。
「怪我は絶対にするんじゃないわよ。貴方達は剣の腕はいい。でもまだ幼すぎる。・・・・お母さんも頑張るから」
次に口を開いたのはクランツだった。
「ああ。わかってる。あともう1ついっておかなきゃいけないことがあるんだ」
そういうと、クランツはイヤリングを着けた。レフィアもそれに続いて、チョーカーをつけ、髪を結った。
「俺達は、この姿で王都ふ向かう。名前も変えてさ」
「そうね・・・・いい考えだわ。偽名を教えて」
「俺はクランツ。そして妹のレフィア」
「お互い頑張りましょう。レックス、二人をお願いね」
レックスが頷く。
「はい。おばさんも早く元気になってくださいね」
「それじゃ、また来るからね」
クランツが笑顔で言った。
「ええ。楽しみにしてるわ」
三人が出ていってしまうと、カトレアは小さなため息をついた。
「ごめんね。私のせいで。ごめんね、ごめんね───」
窓から入るそよ風達が、ウェーブのかかった美しいブルーの髪で遊んでいるようだった。
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