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早く、悠人のところへ行かなくっちゃ……。
教室を出たところで、足早に、いつもの悠人との待ち合わせ場所の校門に向かって廊下を通り過ぎる。
校舎を出る頃にはあたしは少し小走りになっていた。
早く悠人の顔を見たくて。
早く――安心したくて。
何から逃げるように悠人の元に急いでるのかなんて、そんなことは考えずに済むように。
「メイせんぱーい」
自分の名前を呼ぶ聞き慣れた声が耳に入ってきて、あたしはなんだかちょっとホッとした。
顔を上げると門扉にもたれ掛かるようにしながら軽く手を振っている悠人の姿。
その姿を確認しただけで、なんだか現実世界に戻って来たような気がして安心できた。
別に異次元に迷い込んでいたわけでも何でもないのに……。
固まっていた時間がゆっくりと動き出す。
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