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「メイ先輩はオレの彼女だって言ったんだけど、信じなくて。証拠が見たいから一緒に行くってきかなくてさ」
証拠って……。
「ミカにはメイ先輩に迷惑かけるなって、ちゃんと言っといたから」
「ミカ――ね」
いつの間にだか呼び捨てなんだ。
「いや、2年の部員はみんなそう呼んでるし。別に他意はないから、ホント」
珍しく悠人が焦って見える。
それが逆に後ろめたさの現れみたいに思えるあたしはきっと、イヤな女なんだろう。
「そう」
もう何を言う気も起こらなくて、あたしは心にもなくサラリと流した。
「今日だけだと思うから。本当にゴメンね、メイ先輩」
「いいよ、もう。それより早く帰ろ」
その言葉に悠人はちょっとだけ笑った。
だけどいつものあたしの大好きな悠人の笑顔も、今日はあたしの心を晴れにすることは出来そうになかった。
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