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「悠人先輩、次の記録会なんですけど」
ミカちゃんは悠人と並んで帰れることが余程ご満悦なのか、ここぞとばかりにあたしを蚊帳の外に置ける部活の話題を並べ立てて悠人との楽しい会話を満喫している。
あたしはと言うと、既に対抗する気力も湧かなくて、笑顔の仮面を貼り付けながら2人の半歩後ろを歩いていた。
なんだか、これじゃどっちが彼女なんだか……わからないじゃない。
彼女の思惑通りってこと?
けしていやらしくならない積極性でスキンシップを図りながら、それでも、もっと触れたいって女の子らしいさり気ないアピールも忘れない。
どこで覚えたんだか、解説付きでテレビにでも紹介されそうな手練手管だ。
つい数ヶ月前にはまだ中学生だったはずの少女は、今はすっかり恋する女の目をして自分の恋人を見つめてる。
別に……いいけど、ね。
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