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「だから、なんて顔してるんですか」
どんな顔してるかなんて、鏡もないのにわかるわけないでしょう……。
フッ。と優しく悠人が笑って。
ポンポン、っと軽くあたしの頭を撫でたりするもんだから。
不覚にも思わず涙が出そうになった。
「なんで? 先帰りましょうよ、悠人先輩」
「なんで…って、オレがメイ先輩と帰りたいからだよ。言ったろ? 付き合ってる。って」
まるで納得のいってない様子でミカちゃんが食い下がってきたのに、悠人はそう言い切ってくれた。
「でもっ……!」
「ミカ、これ以上オレを困らせるなよ」
どこか冷たいとも思える態度で悠人はミカちゃんをやんわり突き放した。
だけど。
それはそれで、ちょっと可哀想だな。なんて思ってしまう。
あたしはイヤな女だ。
一方で、嬉しくないわけがないんだから。
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