年下彼氏

☆

　
「あれをただ見てただけって言うなら、わたしは視界に入るのを遠慮したいわ」

「はるかぁ……」

　そんなこと言わないでよ。

　ため息混じりの遥香のその言葉に、あたしは情けない声を上げた。

「わたしが視界に入りたいのは、高橋くんだけよ」

「ナイスフォロー。なの？ それって」

「当たり前じゃない」

　茶化すような遥香の心遣いが嬉しくて、あたしの不安はだいぶん薄れた。

　まだあたしの知らない悠人の一面。

　もちろんあって当然だし、あたしにだってきっと無意識に使い分けてるだけで見せてない面があるはず。

　だけど初めて耳にしたあたしの知らない悠人の一面は、ちょっと衝撃的で。

　不安を募らせるには十分だった。