7人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめん悠人、お待たせ」
いつもと同じように、なにも気づかなかったように、あたしは笑う。
そう、今までなんにも気づかなかったんだ。
悠人も気づかせないようにしてた。
だから。
あたしはこの3ヶ月。
悠人のいったい何を見てきたんだろう。
「そっちは大丈夫? 忙しそうなのにゴメン」
「うん、大丈夫よ。どうかした?」
悠人が教室に来るのは珍しいことじゃなかったけど、何か用がなければ来ない。
「今日ミーティングだけで早く終われそうなんだ。だから、一緒に帰れる? って。お伺い」
「わかった。待ってるわね」
「じゃあ、終わったら呼びに来る」
嬉しそうな顔しちゃって。
さっきの表情がまるで見間違いみたいに――。
最初のコメントを投稿しよう!