一目惚れ

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 だけど、さすがにここじゃなんだから……。 「ちょっと出られる?」 「ん、1分待って」  悠人はそう言うと手早く荷物をまとめ始めた。  こんな時だっていうのに、テキパキと手際の良いその仕草につい見とれて、無駄にトキメキを感じてしまう――どうしようもないな、あたし。 「お待たせ。どこ行くの?」 「……静かなとこ」  考えてなかったよ……。 「じゃあ裏庭でいっかな」 「うん」  あたしの返事を聞くと、悠人は何事もないような顔をして先に歩き出した。  って言うか、なんで連れ出されたはずの悠人にさり気なくあたしの方が誘導されてるんだろう。  まぁ、あたしと悠人は万事に於(お)いていつの間にかこんな感じなわけ。  それが嫌だってことじゃないし、どっちかと言えばリードされるのは好きだからいいんだけど。
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