退屈

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まったく…………。 退屈だ………。 本当に退屈だ。 俺がアメリカ陸軍に入隊して、そろそろ一年。 現在俺は、何だかよくわからない研究所の警備を毎日やらされている。 上官達は教えてくれないが、噂によると、その施設は研究所で、中でワープだかなんだかの装置を造っているらしい。 何がワープ装置だ!? こんな事なら、両親が死んだ時に、日本に帰ればよかった…………。 俺は佐竹明。 日本人。 勿論男だ。 俺は日本で生まれ、7歳の時、父親の仕事の都合でアメリカに来た。 しかし、俺が17歳のとき、両親の乗っていた旅客機がテロリストにハイジャックされて墜落し、両親を失った。 何かあればすぐ両親に頼っていた高校生の俺は、どうすればいいか解らず、混乱した。 自分が育った日本へ帰ることも考えた。 そんな時、明の頭に軍隊の事が浮かんだ。 明は両親を奪ったテロリスト達を許さなかった。 そして、恨んでいた。 その気持ちが、対テロ=軍という単純な答えを導き出した。 その答えが、俺の軍への入隊を決意させてしまった。 しかし、自分に与えられた任務は、戦闘ではなく、この阿呆らしい研究所の見張り役。 最近になってやっと、俺は日本に帰るべきだったと思い始めたが、後の祭り。 まったく……… 自分で自分が嫌になる………
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