退屈

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食堂に入り、明は友人の警備兵の隣の席に座った。 「おう!明。お疲れさん!」 隣の友人警備兵が、明るい調子で話しかけてきた。 「お疲れレベルじゃないよ。死にそうだ。」 俺はそういってため息をつくと、飯を食べ始めた。 暑さであまり食欲が無い。 だが、食べておかないと体がもたないので、俺は飯を無理矢理口に詰め込んだ。 「佐竹一等兵!」 フォークで飯を口に運ぼうとしていたら、突然後から声をかけられた。 俺はフォークを手に取ったまま振り向くと、そこにはタバコを口にくわえた大柄の男が、こちらを見て立っていた。 …………ライアン少尉だ。 ライアン少尉は明の上官で、明の警備部隊を仕切っている人だ。 タバコ好きで、いつもアメリカンスピリッツ(タバコの銘柄)を口にくわえていた。 頑固だが、心優しく、明達警備兵をいつも気遣かってくれる素晴らしい上官。 それが、明のライアン少尉に対するイメージだった。 明は即座に立ち上がり、軽く敬礼をすると、ライアン少尉に向かって聞いた。 「ライアン少尉!何ですか!」 明がそういうと、ライアン少尉は、少しすまなそうな顔をして言った。 「すまんが、兵舎の前に置いてあるハンヴィー高機動車(アメリカ軍の戦闘車両。単純にいうと軍用のジープのような物。)を研究所まで運んどいて欲しいんだ。食事が終わってからでいいぞ。」 俺はそれを聞くと同時に反論した。 はっきり言って、研究所には行きたくない。 前に一度、研究所に荷物を届けに行った事があった。 俺が歩いて研究所に近付いて行くと、何故かは知らないが、突然警備兵に銃を向けられ、威嚇射撃された。 その時以来、俺はそのイカれた警備兵のいる研究所に近づかないようにしていた。 「え~。何で俺なんですか?」 「私は今から研究所で大事な会議があるんだ。あと…………お前が一番暇そうだったから。」 俺は暇人に見えるのか……… 「…………解りました。食べ終わったら行きますよ。」 少し不満だったが、どうせ暇だったし、上官に反論するなんて、普通じゃ軍法会議ものだ。 俺は仕方なく、彼の命令を引き受けた。 「すまんな。宜しく頼む。」 そういって、ライアン少尉は駆け足で立ち去った。
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