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少年はその場に座り込んだ。
町の門のような役割をしていたその建築物の屋根は、軒下が広く、少年が雨に体を濡らす心配は無い。
だが、気温が低い。
恐らく氷点下一歩手前。
少年はそこまで薄着といった訳では無いのだが、あんな座り方では体温が保てまい。
━━━━凍死━━━━
少年の姿はそれを連想させた。
少年はそのまま下を向き、眠りに就こうとした。
しかし、何かに気付いたのか、少年は顔を上げて向かいの立体駐車場を見た。
少年の視線の先にあるのは立体駐車場の三階の辺り。
そこは不思議な事に、少し明るく光っていた。
この黒い雨のせいで、余計に際立つ。
少年は少しその場で考えた挙げ句、腰を上げて歩き始めた。
立体駐車場に向かって。
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