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息絶えてしまった・・・そこに救急車が来た、俺は頭が真っ白になって動けなかった。
一応歩くことはできたものの、救急車に乗った俺は亜希の名前さえも呼ぶことができなかった。
亜希は手術室に入っていった。亜希は助からないだろう・・・俺にはわかる。
そして、手術はおわった。俺はたった一握りの希望を信じて先生に尋ねた・・・
先生は首を横に振った・・・。
予測していたことだった、しかし、つらかった。亜希とはいつも一緒にいた、学校ではいつも励ましてくれて、暇があればいつも遊んでいた。休日は毎日のようにデートしたりもした、デート中は手を握る約束だったりもした。時にはキスもした。亜希の涙だって何回もみた。いつも俺に向けてやさしくほほえんでくれた。俺がちょっとでも何か考え事をしていたら、顔を覗き込んで『どうしたの?』なんて声もかけてくれた。なのに・・・亜希は何も悪くないのに、息を絶ってしまった。
もう・・・会えない、二度と。
亜希の手の温かさも、唇の柔らかさも、心配そうな表情も、涙の冷たさも、とても美しかった笑顔も、そして・・・腕のなかに確かにあった亜希の鼓動も。
みんな消えてしまった・・・。
二度と・・・感じることができない・・・
そう思うと、大粒の涙がほろほろと流れてきた。俺は膝の力が向けて、床のタイルに突っ伏した。俺はまるで子供のように大声で泣いた。
何時間も・・何時間も・・・泣いても何にもならないことはよくわかってる、だけど・・・泣かずにはいられなかった。
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