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涙が枯れてきた頃、俺は亜希に会いに行った。
亜希は冷えきっていた、俺は亜希に別れの、最後のキスをした。
「亜希・・・」
その名前を呼んだ瞬間、目が熱くなった。俺はその場から走り去った。
街を歩く一歩一歩がとても重く感じた。
家に着いた、俺はすぐにベッドに潜り込んだ、
しかし、寝られなかった。
結局その日は一日中起きてしまった。それに、いつも頭に思い浮かんでくるのは亜希のことばかり、学校では、和也や美香が
「元気だせよ!」
とか、
「残念だな・・・」
などと心配してくれる人もいた、みんなが俺を励ましてくれてることはわかってる、けれど・・・なんにも、耳に入ってこない・・・。
一度は亜希のあとを追うことも考えた、でも・・・死ねなかった。いつものように学校がおわって、いつものように帰っていた。
今日は、いつも亜希と一緒に帰っていた道を通った。この道は少しでも亜希と一緒に居たいために見つけた遠回りの道だった、この道を通るのは久しぶりだ。道は結構狭かった、そこを歩いていると一人の老婆がじゅうたんを引いて座っていた。
老婆は赤いスカーフを背中に掛けていて、目の色はきれいなブルーだった。
「こっちへ来なさい。」老婆は優しく声をかけてきた、
「薬を買ってみないかい?」
老婆がすすめた薬は黒くて、不気味な色だった。「この薬は一度だけ過去に戻ることができるんだ。過去につらいことがあったり、その過去のせいで今の人生が狂ってしまった人には特にお薦めするよ。」
老婆はまるで俺の心を見透かしているかのように話した。
「一ついかが?」
もし、この薬を飲んで死んでしまったらどうしよう・・・
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