a whispering history

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――   「……んちょー」   遠くから響いてくる声を華麗に聞き流し、狐うどんを啜る。 最近増設されたカフェに人が集中し、その反面どこか寂寥感の漂う学食。 しかしそんな事はどうでも良く、此処の麺類は……ただただ旨い。   「いんちょ、あのね!」   気温、湿度、水質硬度……あらゆる要素から算出して茹でる麺はまさに絶品。 食堂のおばちゃん、実は昔どこかの研究員だったそうな。   「いんちょ、聞いてるの?」   あらかた麺を胃に納めたので、ようやく声に反応する。   「また出たって」   「何が?」   「旧校舎の放送」   「それは良いけど、何故僕に?」   全く以て、意味が判らない。 この後輩は、そんなことを話すために走って叫んで……   「だって先輩、放送いんちょだから」   「関係ないよ」   放送委員長だからといって、管轄外に首を突っ込む気は毛頭無い。 ましてや、狐うどんに集中すべき時間帯に、そんなことを考える気すら起きない。   「ああ、来たついでに言っておくけど、来週キミ放送当番ね」   後輩は頬を膨らませ、幾分か温度の下がった目で睨む。   「いんちょ、仕事「だけ」は完璧ですね」   「まあね」   揶揄に対して、少し得意気に応える。   そう   僕は、職務に忠実だ
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