プロローグ~春休み~

2/3
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
 その日の昼前に荒木正人(まさと)が目が覚めた時には共働きの両親はとっくに仕事に出た後だった。  眠い目をこすりながらリビングに行く。テーブルの上には新聞と菓子パンが放り出されていた。 「ちっ、今日は手抜きもいいとこだな……」  正人の朝食は母親の気分と仕事までの時間に左右される。時間があれば目玉焼きとか食パンなんかが皿に乗ってるが、ない時は今日のような有り様である。まあ、仕事してるんだし作ってもらってる身分じゃ文句は言えないンだが。  仕方ないのでパンの袋を破りつつ新聞に目をやった。普段は正人はテレビ欄と四コママンガとスポーツ欄くらいしか見ない。政治とか経済とか言われてもいまいちピンと来ない。何と言うか、遠い世界の話なのだ。  しかしその日は四コマに目を通し(「今日のはつまンねぇな」とつぶやいた)さて昨日のオープン戦の結果は如何とスポーツ欄へ、というところである記事が目に入った。 「あ?卒業式で国歌斉唱拒否……?」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!