プロローグ~春休み~

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 正人(まさと)は高二で卒業は来年の話だった。今は春休みなので実際はもう高三みたいなもんである。母親からもあんたちゃんと勉強やってんのとチクチク言われ出した。誰のために私が働いてると思ってるの、私立は学費高いんだからその分元取りなさいよね。  ンなこと言ったってS高校を薦めたのはアンタじゃねぇかよ、と正人は内心いつも思う。オレは別に公立でもよかったンだぜ。  記事に載ったのは彼の知らない高校だったが興味がわいたので先を読んでみることにした。 「ええーと、卒業式で卒業生の一部が国歌斉唱の際再三の起立の指示に従わず、国歌も歌うことなく座ったままであった、と……へぇ、やるじゃん」  そこまで読んで正人は首をゴキゴキと回した。目はすっかり覚めたようだ。そういえばパンの袋は破いただけでまだ食べていなかったことに気づき、三色パンにかぶりついた。 「げ、この三色パンチョコじゃなくてアンコかよ……しけてンな」  残りはイチゴジャムとクリーム。定番だ。  ぶつぶつ文句を言いながら(「オリジナリティーがない、つまらん」云々)食べ終わると正人は友人の雄太に電話をかけた。 「お前今日ヒマだろ?ちょっと面白いこと思いついたからウチに来いよ」
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