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着信メロディが鳴った―――。
美春からのメール着信。とても珍しい相手だ。
彼女とは、数日前に一緒に食事したとき、他愛もない喧嘩で、嫌われたと思ったのだが……。
ユウは、着信メールを見ると、その目を静かに閉じて考えを巡らせる。
うそだな。
まだ頭は半起きのままだったが、睡魔を叩き、ベッドから体を起こす。
部屋の中は雑然としていて、片付けるとするならば、どこから手を付けたらいいか迷うだろう。
そのまるで足の踏み場もないような部屋を華麗に跳び、廊下にたどり着く。少し息は荒いが、なんとか喋れる。
こいつは、美春は寂しがりやで、誰かに優しくをされるとほんとに幸せそうな仕草をする。
まぁ、今回の着信メールに偽りがあることには違いない。いかにも不自然すぎるのだ…。
美春の身になにか危ないことでも起きていようものなら、……メールじゃなくて、直接助けを求めて俺の家に来るはずだ。今までもそうやって悩まされてきた。
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