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なのに、他人に見られるのを嫌がる私の内心などお構いなしに、見せびらかしてやろうなどと言う。
…先輩はそれで良くても、私はイヤなのに……。
大好きだった憧れの人に、求められている。
これ以上ないくらいに幸せな事であるはずなのに、私は自分の中の不満を否定できなかった。
………私、沢口先輩の告白を受け入れて、本当に良かったのかな…?
数分前の胸の高鳴りは、もはや感じられなかった。
代わりにあるのは、これから先輩と付き合っていけるのかという不安と、私たちの関係が全校生徒に知れ渡るであろう憂鬱。
私は本当に、沢口先輩を求めていたのだろうか?
キスを続けながら自分の胸に問いかけてみるが、答えが出ることはやはりなかった……。
ドアの裏側。
一人の女子生徒が、涙を流しながら肩を震わせているのに、私が気づけるはずもない。
ささやかな願いと憧れ、そして僅かに軽率な決断。
それが、あのような結末を迎えることになるなどと、この時の私は思いもしなかった………。
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