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嫌がらせが収まる事はやはりなく、登校した私を待っていたのは、ある意味昨日よりタチの悪いイタズラだった。
また百足でも入れられていてはたまらないと思い、慎重に開けたげた箱の中には、鼻を塞ぎたくなるような悪臭が充満していた。
「…う………」
上履き代わりに入れておいた、体育館履き。
覗き込んでみれば、中には幾つもの茶色い塊が詰め込まれており、異臭の正体でもあるそれは、大量の犬の糞だった。
それも、ギッシリと。
「いい加減にしてよ…」
握りしめた拳が、怒りに震える。
もはや嫌がらせという域を飛び越えた、単なるイジメでしかない。
ここまでされる理由が、本当に解らない。
仮に私が、佐藤たちの気に食わない事をしていたとしても、明らかに度が過ぎている。
昨日の百足や教科書、体操着の件といい、それらの行為は嫌っているなどという生易しい感情からのものではなく、まるで私に恨みでもあるかのようだった。
全く思い当たる節がない。
いくら佐藤が最低な人間だとしても、ここまで執拗にやるだろうか…?
疑問を感じながら、取り出した体育館履きをゴミ箱へ放り投げる。
二度と履く気にはなれない。
仕方なく、げた箱の上段に放置したままだった上履きを手に取り、足を入れる。
百足の感触が蘇ってくるようで気持ち悪いが致し方ない。
あの腕を這い回る感覚を思い出さないように、早足で教室へ向かう私。
…だが、入り口のドアを開けて教室へ足を踏み入れた瞬間、そのあまりに酷い光景を前に硬直し、言葉を失った。
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