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黒板に目をやれば、そこには白いチョークで、デカデカと殴り書きされた文字。
『九重キモス』『学校来んな!!』『クズ女』『死ねばいいのに』
一つ一つ言い上げていけばキリがないくらい、黒板を埋め尽くす白。
その全てが、私への中傷だった。
そして私の席には、まるでゴミ箱の中身をそのままひっくり返したように、破れたプリントや汚らしい紙パックが散らばり、ゴミ山のオブジェが出来上がっていた。
「――――――」
誰も、何も言わない。
ドアの前で唖然と立ち尽くす私の様子を伺うように、チラチラと目を向けてくるだけ。
隣の席にいたはずの澪は、あからさまに私を無視して、他の友人たちとお喋りに勤しんでいた。
私を、拒絶するように。
「…………。」
目眩がする。
どこで、何を間違ってこんな状況になってしまったのだろう?
夢だと思いたかったが、この胸の痛みは紛れもなく現実。
私が、クラス中から嫌われているという事実を表しているのだ。
とりあえず、机、片づけなきゃ…。
ショックによって停止しかかった思考の片隅で判断を下す。
ここでこうして固まっていたところで、状況は何も変わらない。
足を踏み出す。
普段通り、授業前のざわめきに包まれた教室を、夢遊病のようにフラフラとした足取りで進んでいく。
だが、座席の間を通ろうとした瞬間、
「―――あ、」
何かに躓いた、と理解した時には既に遅く、私の体は前のめりに傾き、顔面から倒れ込んでいた。
冷たい床に、思い切り鼻を打ちつける。
じんわりと、鈍い痛みが広がった。
「はは、ダッサー!コイツ、マジキモいんだけど!」
頭上から、甲高い声が降ってくる。
考えるまでもなく、佐藤のものだ。
そこでようやく、私は佐藤に足を引っかけれたのだと気づいた。
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