140人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
こつ、こつ……
響き渡る、足音。
こつ、こつ……
それは、徐々に近づいてくる。
こつ、こつ……
二年三組の列付近の柱で、息を殺して潜む、私の所へ。
こつ、こつ……ぴたり。
…と。
一歩踏み出して手を伸ばせば、おそらく触れ合えるだろう位置で、足音が止まった。
続いて、げた箱を開ける錆びた音。
「……………」
心臓が早鐘を打つように、激しく鼓動する。
違う。
絶対に違う。
きっと紺野君のように、誰かが忘れ物を取りに来ただけなんだ。
…だから、ビニール袋から何かを取り出すように、ガサガサした音が聞こえるのは、きっと気のせい。
確認しなければならない。
――――は、あんな事をする人間じゃないって、証明しなきゃ。
息を吸い込み、私は思い切って柱の陰から飛び出し―――
「…………なんで……どうしてアナタがこんな事するの………?」
げた箱に何かを詰め込む友人を………、矢野澪の姿を目の当たりにして、呆然と立ち尽くした。
最初のコメントを投稿しよう!