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それが合図となった。
悲しみ、寂しさ、怒り、安堵……それら全てが混じり合い、行き場のない感情となって爆発する。
私は紺野君の肩にしがみつき、声を上げて泣いた。
もう何が何だか分からなかった。
様々な感情が脳内入り混じって、好き勝手に暴れ回る。
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
堪えていたモノが、全て鳴き声と共に吐き出されていく。
ココアの缶が地面に転がり落ち、中身がこぼれるが、それを気にする余裕などない。
ただ、どこから来るのか分からない激情の波に飲まれながら、ひたすら涙を流す。
……そんなめちゃくちゃに泣きじゃくる私を、紺野君は黙って抱きしめてくれた。
優しく…というより不器用な手つきで、しかし、私を慰めようと。
一生懸命なその行為に、私の胸が熱くなる。
その原因が、ホットココアじゃないのは明白だった。
ぎこちなく頭を撫でてくれる手のひらの感触に宥められながら、こみ上げてくる感情の渦に、私はただ、涙を流し続けていた。
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