🍁ユイイツノミカタ🍁

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「私たちエデンの最終目的である“Noah”作成についてだが、先ほど教えた通り大方は完成済みだ。あとは核となるパーツさえ組み込めば、即座に発動が可能となる」 「その核ってのは、全部でいくつ必要なんです~?」 結局集めるのは自分なのだから、余計な御託よりも、さっさと結論を教えて欲しいというのが天螺の心境である。 「数があれば良いというわけではない。以前にも説明したが、適合する物を当てはめていかねばならないのだよ。…もっとも、光喰らい白己卯の心臓が確保できていれば、こんな手間はいらなかったのだが」 「? あらら?私、奪取命令受けた覚えありませんよ~?」 「奴の存在と能力をエデンが発見した時、既に白己卯はこの世を去った後だった。……あらゆる願望を叶えるあの能力さえあれば、最も迅速かつ確実な手段が取れていた」 蘆木は、心底残念そうに首を振る。 「それを補うためには、限られた複数の能力を組み合わせるしか方法がなく、一時期は“Noah”発動計画そのものを中止するまでに至った。……しかし、不幸中の幸いとは本当にあるらしい」 …そう、それは天螺も知っていた。 あらゆる願望を実現可能とする光喰らいについては初耳だが、“Noah”を発動させるために必要な能力を持つ者たちが、今回の戦いには揃っているとは聞いている。 どうやら、彼らの能力を一つ一つ利用することによって、最終的に“Noah”によってもたらされる効果と同等のものにする、と。 そのためには、別に協力を要請する必要はなく、単に彼らの心臓があればよいらしい。 うち幾つかは、既に天螺の手によって回収済みだった。 「“無限の器”“遠隔からの人体への干渉”“地球全土への干渉”そして“腐食”……、まさかここまで揃っているとは、流石に私も驚いたよ。既に二つはエデンに、キミに集めて貰うのは残りの二つだ」 「むむぅ…果てしなくめんどいんですよ~。………、それにしても、偶然って実に恐ろしいモンなんですね~」 他人事のように呟く天螺には、危機感というものが完全に欠けていた。 まるで、その程度は容易いと言わんばかりに…。 そんな天螺の態度に、蘆木は半ば呆れた表情で、 『キミの存在の方が、私にはよっぽど恐ろしく感じるがな』 …と。 彼女に聞こえぬよう、内心でそっと独白するのだった……。 ◆【interlude out】◆
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