宝石

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   頬を刺す、澄みきった冬の空気。  きらきら輝くイルミネーション。    幸せそうに寄り添って歩く恋人達。     「雪みたいだな」  粉砂糖を振り撒いたケーキを見てあなたが言った。 「綺麗でしょ? ……そう言えば出会った夜も、粉雪が降ってね」      窓の外は雪。    部屋に充満した愛。    澄んだ冬空に輝く星たち。      色づいた12月の街並。    今年ももうすぐ終わる。    引き出しの奥からラッピングされたままの香水がでてきた。    渡せなかったプレゼント。    私の気持ちと一緒に、引き出しにしまい込んだ。    そっと包みをほどいて、首すじに香水をつけてみる。    あの人の匂いがした。    12月24日――。   あの人の誕生日。    そしてクリスマス・イヴ。    おめでとう。    今でも心から、  愛するあの人に届きますように――。      窓の外は雪。  冬空に瞬く星たち。   きらきら輝く、愛しい想い出。    
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