第零夜 歪んだ世界

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「……姉さん、あたしに甘いところはなにも変わっちゃいないな」   「っ……! 何を……」   蒔奈が微かに笑ったのを視認した瞬間、辺りは強烈な光に包まれた。一瞬、彩女の視界が白く染まり、その隙をついて蒔奈は上空へと舞い上がる。   「姉さん、あんたを倒すのはあたしだ! 次は負けない……覚えていろ!」   目を細める姉に吐き捨てて、傷だらけの少女が凄まじい速度で赤い空に消える。蒔奈が去った富士見市は、先ほどの大災害が嘘だったかのように静まり返っていた。 手のひらに溜めていた光弾を宙に帰し、彩女はじっとその手を見つめる。   「甘い……か」
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