In Paris

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 浅倉は両手で抱えていた優華をそっとその場におろし、ガクンと膝をついて倒れる。 「どうしたの?」  優華はしゃがみこみ浅倉の顔を心配そうに覗きこんだ。 「疲れた……」  浅倉は仰向けに転がって、優華の腕を引き、自分の胸へと優華を抱き寄せる。  優華は引かれるがままに浅倉の胸元に頭を置く。  浅倉君、確実に弱ってる……?  優華は、浅倉の弱体化に責任を感じつつ、その事についてよく知りたくて、黙って浅倉の口が開かれるのを待った。  浅倉は優華のそんな思いを感じ取ったのか、これは君のせいじゃない、と優華の頭をそっと撫でる。  そんな浅倉に対して優華は、正直に話して、と静かに言った。 「やっぱり君には分かるんだな、僕の力がだんだん弱くなっている事」  浅倉は大きく息を吸った。それにあわせて胸の辺りがゆっくり上下する。  優華はその動きを肌で感じながら、浅倉のシャツの裾をギュと掴んだ。 「この世界にいる間、なぜかは知らないけど僕たちの力は絶対に回復しない。使えば使うだけ体に負担をかけるんだ。どうしても力を使いたいときは体力を力に変えて使う」  浅倉は淡々と話を続ける。 「君とキスする事で若干力を蓄える事ができるのだけど、それでも足りない」 「足りないって何が?」  優華はすかさず質問をする。  それに対して浅倉はにこりともせず、深刻な事実を口にした。 「僕の世界に帰るための力が足りない。君を魔界につれていく事はおろか、一人で帰る事さえも、出来るかどうかわからない」  ……雨はいつの間にかやんでいた。
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