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優華は階段を駆け上がり、新しい自分の教室に足を滑り込ませた。
「遠藤、早く席について」
「はい……」
教室に入るとみんな席についていて、担任は教卓の前に立っていた。
席まで行く間にざっと周りを見渡してみると、一年のときと同じ顔もいた。
そして優華の親友の美香もその中に混ざっていた。美香は優華ににっこりと微笑んだ。
「話の途中だったが、彼はこの街に来てまだ間もないので、みんなからいろいろ教えてやってくれ」
彼?
急いでいたために優華はまったく気が付かなかったのだが、担任の隣には背の高いすらっとした少年が立っていた。
顔立ちもはっきりしていて、優華にも一目で彼がかっこいいとわかった。
しかし優華は心のなかでそんな思いを振り払う。
私には和也という長年想い続けてきた好きな人、彼氏がいるじゃない。
だが彼の目を見ると優華はそこから目が離せなくなった。
彼の瞳は黒のような赤色をしていたのだ。
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