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「ありがとう」
優華は浅倉の目を見ないようにしてお礼を言った。
なんだか恥ずかしくて目が合わせられなかったのだ。
まず彼女の今の格好が恥ずかしい。
彼らの卑劣極まりない行為に必死に抵抗したせいか、制服ははだけていてネクタイも取れかかっているし、髪の毛はぐしゃぐしゃ。
そしてそれ以上に恥ずかしかったのは、自分自身の愚かさだった。
「興味本位の軽率な行動はやめておいたほうがいいな」
「え?」
浅倉は優しく微笑みながらそう言った。しかし優華は動揺を隠し切れない。
彼はなんでこの事を知っていたのだろう?
「あの……助けてもらっておいてこんなこと言うのは失礼だと思うんだけど。今日のこと誰にも言わないでほしいの……。私八組の人と付き合ってるんだけど、こんな馬鹿なことしたこと彼にはばれたくないんだ。本当に自分勝手、そして自業自得なんだけど、お願い!」
優華は、泣きそうになるのを必死に堪え、浅倉に懇願する。
「勿論言わないよ。彼とお幸せにね」
彼はそう言って、校舎の中に消えていった。
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