浅倉修司

8/13
前へ
/124ページ
次へ
「…………」  気づくと優華は体中嫌な汗をびっしょりかいてベッドの上にいた。  ふと時計を見ると真夜中の1時。  夢ではない、現実の話。  九年前、優華が小学校に入学したばっかりのことだ。  優華の母は通り魔に殺された。それも奇妙な殺され方。その通り魔が彼女の頭に触れたとたん頭が飛んだのだ。  思い出すだけで寒気がした。  大好きだった母親を亡くした優華はことあるごとに母親の事を思い出し、泣いていた。  そんな中、優華に優しくしたのが和也だった。  家族ぐるみの付き合いはしていたが、優華と和也はそれほど仲が良いわけではなかった。  和也の優しさが優華を母親の死と言う悲しみから救い、その頃から優華は彼に惹かれていったのだった。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

768人が本棚に入れています
本棚に追加