浅倉修司

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 優華は金切り声を上げ、その場に座り込む。  初めてのことで気が動転してしまったのだ。  写真を撮られた……裸の…… 「どうしたの優華ちゃん!」  さっきのまで朝食を作っていたらしいお結衣がエプロン姿で風呂場に入ってきた。  優華は全身びしょびしょのまま結衣に抱きついた。  ほんとうに怖かった。  目から涙が溢れる。  すると結衣は状況を察してたのか優華をギュッと、優しく抱きしめた。  それから何分経っただろうか。  ピンポーン、とベルが鳴り結衣はそっと優華を離した。  そのあと流れっぱなしになっていたシャワーの水を止め、バスタオルを優華にかけ、玄関に向かった。  優華はそっと聞き耳を立てる。  近所迷惑だったのだろうか。 「あ、はい。はい。ありがとうございます。ちょっとまっててくださいね。今優華呼んできますから」 「あ、いいですよ。僕は学校へ行く途中だったので」 「そんな、優華にもお礼させるわ。待っててくださいね」  パタパタという足音が近づいてくるのが優華の耳に入る。  会話からするとお母さんだろう。 「優華ちゃん。覗きの人捕まったわよ。これ写真のフィルム。ほら服着て出てきなさい。お礼を言わなくちゃ」  優華には誰が捕まえてくれたのか大体予想はついていた。  優華はしっかりと体を拭き、新しい下着とさっき脱いだ制服を身に付け急いで玄関に向かった。
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