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その先には和也が立っていた。優華は声にならない声をあげる。
「おはよう、和也君」
浅倉が和也に声をかける。
彼に気付いた和也もまた、声にならない声をあげた。
目にも驚きの色が混ざっている。
和也は浅倉を無視して優華に話しかける。
「優華。なんでこいつがここにいる?」
「ぅ、えぇと……」
和也はすこし不機嫌な口調で優華に尋ねたため優華は言葉をつまらせる。
すると和也に無視された浅倉がすこし笑って口を開いた。
「和也君、君が心配してるようなことはなにもないよ。僕は遠藤さんの落し物を届けただけ」
そう言って浅倉は和也に近づき、耳元で何か囁いて家から出て行った。
和也はなにかいいたげな表情だったが小さく舌打ちしただけだった。
その後優華は急いで支度をして朝食を食べずに家をでた。
基本的に優華は朝食を食べる。抜くと授業に支障が出るからだ。
しかし、和也が不機嫌な時にそんな悠長な事をやってはいられない。
和也は終始不機嫌で、優華は家を出てから学校に着くまでひたすら謝り続けた。
その最中、どうして私が謝らなきゃいけないんだろう、とか疑問に思ったことはさておいて。
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