Summer Vacation

4/6
前へ
/124ページ
次へ
 数分後、二人は喫茶店に到着した。  美香が事故にあった日に入ったあの喫茶店とは別の店である。  二人は店の中に入った。店内はクーラーがガンガンに効いている。少し寒いくらいだ。  二人は窓際のテーブルについた。  ふと優華は外をみる。  燦々と照りつける陽射しの中、腕を組んで歩いているカップルや、ひとつのアイスクリームを二人で仲良く食べているカップル、さらには白昼堂々ベンチに座ってキスをしているカップルもいた。  彼らはみな楽しそうに笑っている。  私もいつか浅倉君とあんな風になれたらいいのにな。  そう思いながら優華は物憂げに外を見ていた。  浅倉はそんな優華の視線を追う。そのあとすぐに優華に視線を移し、ふっと笑った。 「羨ましいか?」 「え?」  優華も視線を浅倉に移す。 「ああいう男女が羨ましい?」 「それは……まぁ、そうね」 「ハハハっ」  浅倉は無邪気に笑った。優華はそんな浅倉の表情にドキッとしながら言葉を返す。 「なによぉ~」 「いや、なんでもないよ。ただ……僕はずっと待っているんだけどな」
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

768人が本棚に入れています
本棚に追加