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数分後、二人は喫茶店に到着した。
美香が事故にあった日に入ったあの喫茶店とは別の店である。
二人は店の中に入った。店内はクーラーがガンガンに効いている。少し寒いくらいだ。
二人は窓際のテーブルについた。
ふと優華は外をみる。
燦々と照りつける陽射しの中、腕を組んで歩いているカップルや、ひとつのアイスクリームを二人で仲良く食べているカップル、さらには白昼堂々ベンチに座ってキスをしているカップルもいた。
彼らはみな楽しそうに笑っている。
私もいつか浅倉君とあんな風になれたらいいのにな。
そう思いながら優華は物憂げに外を見ていた。
浅倉はそんな優華の視線を追う。そのあとすぐに優華に視線を移し、ふっと笑った。
「羨ましいか?」
「え?」
優華も視線を浅倉に移す。
「ああいう男女が羨ましい?」
「それは……まぁ、そうね」
「ハハハっ」
浅倉は無邪気に笑った。優華はそんな浅倉の表情にドキッとしながら言葉を返す。
「なによぉ~」
「いや、なんでもないよ。ただ……僕はずっと待っているんだけどな」
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