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しばらくして警察が到着する。あの教室の鍵はどうやら開けられているようだ。
警察の人達の中には本田警部もいたので俺は声をかけた。
「警部さん~。」
「やあ敬介君。君もいたのですか。」
「はい。ちょっと俺達も中見させてもらっていいですか?できるだけ邪魔にならないようにするので。」
「う~ん。さすがにこれは本物の事件だからね。そう簡単には入れられないですよ。」
「そうですか…。」
「そしたら中の状況を少し教えてもらえませんか?」
俺ががっくりしてると、とっさに秀二が機転を利かせてくれた。
「とりあえず今わかっていることは、被害者は氷川 浩太、君達も知っているはずだ。そして死因は凍死…。机の上でかちこちに凍って死んでいました。」
凍死?春に凍死って…。どう考えてもありえないだろ。
更に警部さんが続ける。
「部屋はどうやら密室になっていて誰も出入り出来なかったと思われます。そして黒板にはそれに関する文章が残されていました。」
文章?俺達は少し中を覗かせてもらった。
さっきは氷川 浩太のことに目を取られて気づかなかったけど、黒板には殴り書きのメッセージが残されていた。
そこにはこう書いてあった。
『この者の魂は私が頂いた! 雪女』
雪女…。そんなバカな話があるか?
「密室で凍死。雪女がやったって言ってもおかしくないよね…。」
舞がひ弱な声でそんなことを言う。
確かにこの状況を人間が作り出すのは無理だ。しかもこの春先に凍死はどう考えてもありえない。
もしかして本当に雪女が出たのか…?
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