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クロが説明を始める
「まず凍死の原因について。ちょっと聞きたいんだけど、この学校はもう冷房を使い始めてるのかい?」
冷房…。春になって暖かくなったとはいえ、冷房をかけるわけがない。
「いや、まだ使ってないはずだけど…。」
「まあそれが普通だろうね。でもこの教室のエアコンの設定を見てみてよ。」
そう言われて俺は教室の中に入って確認してみる。
「あ!設定が冷房になってる!」
「そう。使われていないはずなのに、何故かこの教室の設定は冷房になっている。つまりここだけで冷房が使われたということなんだ。」
「でもそれだけで凍死させるなんてできっこないだろ。じゃなきゃ凍死者多発してるぞ?」
大知が冷静に突っ込む。
「もちろん冷房をかけただけで凍死なんてのはあり得ない。そこでもう一つ、体だけじゃなく、その着ている服も一緒に硬くなっていたんだ。これがどういうことかわか
るかな?」
服も一緒に…?
「あ、わかった!水をかけたんだよ!」
舞が突然声を出す。
「その通り。実は凍死させるのは意外と単純な話なんだ。水が蒸気になるとき、気化熱と言って周りの熱を奪う性質がある。それが体の周りで起きると、どんどん体温を
下げて凍死に至ってしまう。これを利用すれば、今回のことは説明できる。」
「へ~。」
感心するのと同時に、人間って案外脆いなと思ってしまう…。
「それでどうやって他殺だってわかったの?教室は密室になってたんでしょ?だったら自殺しかあり得ないじゃない。」
今度は利奈だ。
「君達はホントに容赦なく突っ込んでくるね。鍵はこの指輪さ。」
クロがさっき拾った指輪をポケットから出して俺達に見せた。
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