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「な、なんでそうなるんだよ!僕にはちゃんとアリバイもあるじゃないか。」
「そのアリバイは意味がないんはずだよ?ちゃんと家の人に確認取れるものなのかい?」
「それは、ずっと一人で部屋にいたし…。」
「君の部屋は1階にあるのでは?」
「確かに1階だけど…。」
「肝心なのは別にそこでもない。実際君が抜け出そうと思えばいつでもできる。そこにいる長谷川君のようにね。」
確かにできる。でもそうなったら他の女の子のアリバイもなくなるぞ?
「じゃあ女の子の二人もできるんじゃないのか?」
半田が俺と同じ考え方を口にする。
「そう。重要なのは、今回の事件をやるには女の子の腕力では不十分という点にあるのさ。考えてごらん、眠った一人の男の子を持ち上げるのにどれだけの力が必要だと
思う?それこそ最低60kgの重さのものは持ち上げられないといけない。それを女の子一人がやろうとしたらまずできないだろう。」
「じゃあ長谷川にもできるじゃないか。ちょうどその時間家にいなかった訳だし。」
そういわれたクロは長谷川のほうを向いた。
「長谷川君、君が昨日どこで遊んでたか証明できるものはあるかな?」
「お、おう。それならボーリング行ったときのスコアとカラオケの領収書がまだ部屋のゴミ箱にあるはずだよ。多分それには遊んだ時間も載ってる。それに一緒にいたや
つらに聞いてくれればアリバイはちゃんとあるはずだぜ。」
これを聞いてまた半田のほうに向き直る。
「長谷川君は確かに家にはいなかった。しかしそれは逆に動かぬアリバイになったんだ。ずっと家にいたと言っている君よりもね。」
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