怪奇の浄化

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「じゃあもし女の子二人が共犯だったらどうするんだ?それだったら今の話もできるじゃないか。それに密室を作るトリックは二人のほうがやりやすいはずだ。」 半田が必死に自分から疑いを外そうとして近藤と清水を指差す。 「確かにそれもあり得る。ただ、そうしたら動機は何になるのかを考えたとき、どうしても出てこないんだ。そして君の動機を予想してみた。もしかして君は最初に飛び 降りをやってしまった比嘉さんに、氷川君と別れなければなにかするという脅しをかけてたんじゃないのかい?それを聞いた比嘉さんは予想外にも自殺をしてしまった…。それを知った君は氷川君を逆恨みして今回の事件を起こした。これで合ってるかい?」 「ばかばかしい。確かに祥子が自殺のはびっくりしたけど…。」 そういって黙り込んでしまった。   そしてクロが追い討ちをかける。 「最後に一番肝心なのは、この密室トリックは君にしか思いつけないということだ。」 ん?どういうことだ?やろうと思えば誰だってできるから困ってたんじゃないのか? 「あんな簡単なトリック、誰でもできるじゃないか。それをどうして僕だけだなんて。」 「あんなトリックってどんな?」 「どんなって…」 ここでクロが打開の一言を出す。 「何故君は密室の作り方を簡単だって言い切れたんだい?」 「だってさっき事件の説明してたじゃないか…」 「僕は一言も密室の作り方を話したつもりはないんだけどね?その証拠に、君のほかの三人はまだ密室のトリックをぜんぜん知らないはずだよ。」 半田はしまったという風に他の3人を見渡す。だけどそれはもう遅かった。  
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