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岬は杖を空にかざした。
―全ての祖は汝。全ての祖は私。全ての起源となりしその力。私に預けよ!―
岬は呪文を紡ぎ終えた。
刹那。
一つ目木偶の坊、もとい。
サイクロプスの両腕が消えた。
切り落とされたでも、吹っ飛んだわけでもない。文字通り消えたのだ。
サイクロプス自身も何が起きたかわかっていないようだった。
もちろん。俺にもわかっているはずがない。
読んで字の如く目が点になってしまう。
ほけ~っとしていたら、声がした。
「イツキ君❗哀殺役は君なんだよ❗」
人さし指を俺に向けていう。
「お、おうよ❗」
鶴来を構える。
今だに何もわかっていない一つ目木偶の坊の前まで歩いて行く。
「まぁ、なんつーか。ご愁傷様ってやつだ。授業のために殺されるなんて、同情はしてやる。でもな、こっちにも事情ってもんがある。ってことでお前には死んでもらう。安心しろ。テメェのデッカイ目ん玉は俺達がもらってやる」
鶴来を天にかざす。
―鶴の様に鮮やかに、鶴の様に穏やかに。汝が命を頂戴する―
さてそろそろおわりますか。
「初めまして、さようなら。もう会うこともないだろう」
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