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時計の針は6時04分を差している。
そろそろ高校生達が起きる時間だ。
そんなおり石蕗春斗の部屋のドアがゆっくりと開く。
ドアの向こうからは一人の少女が現れ、少し少し春斗に歩を進める。
フローリングの床を歩く音が静寂満ちる室内に響く。
「……兄者……兄者…」
少女は春斗を揺すって起こそうとする。
少女は春斗の妹。
春斗を揺する度に少女のなだやかな黒絹の髪が揺れる。
「スー、スー、スー」
「……兄者!……」
「ん~、もうちょっとぉ~…………スー、スー」
春斗は全く起きる気配を見せずに静かな寝息をたてている。
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