『問答無用』

2/5
13195人が本棚に入れています
本棚に追加
/394ページ
時計の針は6時04分を差している。 そろそろ高校生達が起きる時間だ。 そんなおり石蕗春斗の部屋のドアがゆっくりと開く。 ドアの向こうからは一人の少女が現れ、少し少し春斗に歩を進める。 フローリングの床を歩く音が静寂満ちる室内に響く。 「……兄者……兄者…」 少女は春斗を揺すって起こそうとする。 少女は春斗の妹。 春斗を揺する度に少女のなだやかな黒絹の髪が揺れる。 「スー、スー、スー」 「……兄者!……」 「ん~、もうちょっとぉ~…………スー、スー」 春斗は全く起きる気配を見せずに静かな寝息をたてている。
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!