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T『あのさぁ~これ面白そうだから、買ったんよ。』
彼が出してきたのは、『稲川淳二の怖い話』と言うタイトルのセル用カセットテープでした。
今では、DVDやCDで発売されて、珍しくないのですが、当時は、まだDVDも存在しなければ、CDも普及する前、レコードやカセット主流時代だったので、そういう類いも、カセットテープで売られていて、怪談話など製品化するのは珍しかったんです。
その『稲川淳二の怖い話』は、2本あって上下巻で発売されてたらしく、内容は、稲川淳二が淡々と怪談話する内容です。
私もこのカセットにはかなり食い付き、Tにお願いして借りて帰りました。
内容は、どこか野外で公開収録みたいな感じで、観客がいて録音されてます。
テレビやラジオで聴いた内容もいくつかあったんですが、もちろん今と変わらぬあの口調で語るのですから、やはり怖かった記憶はありますよ。
残念ながら、私には何も起こらなかったんですが、カセットをTに返して、何日かたったある日に、電話があったんです。
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