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そいつらは、見たことも無い不思議な恰好で、顔も僕達とは全然違う。
背中に羽が生えている奴までいるんだ。
なんにも考えていなかったからこの不思議なやつら、妖精だって言うのを知ったのは、もっとずっと後の事だった。
でも、ここでは妖精って言うね。その方が分かりやすいし。
妖精は、僕の前に油断して姿を現したんだ。
妖精ってやつは、普段、人間にはとても警戒してほとんど姿を現さないで隠れているんだ。
だから、物珍しそうに僕を見るくせに、目が合うと叫びながら逃げて行くんだ。
僕が二つ目に味わった感情は、寂しさだった。
信じられるかい?
赤ん坊が最初に感じるのは、普通は安心と喜びだよ?
それを感じる間も無く絶望と寂しさなんて。
僕は、なんて不幸なんだろう。
って、あの時の僕も思ったよ。
そしたら、あいつがやって来たんだ。
緑の羽根つき帽子に、葉っぱの服。
生意気そうな鼻と、自信満々の瞳。
そして喜びと冒険心が体中から溢れていた。
あいつは、僕を見つけると言ったんだ。
「ああ!またロストチャイルドを見つけちゃったよ」
大袈裟な身ぶりで、さも大事にでくわしたみたいにさ。
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