退院

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退院

私は 恐れていた 記憶障害や 脳内出血もなく 体中に負った骨折や傷も回復し…無事 退院することになった。 でもどうしても集中治療室の男性が気になり… 私は 退院する朝 集中治療室の前に行った。 「すみません…私 退院するんですけど いったい 何の目的でそこに立ってるんですか?」 ドアの外から 小声で 問いかけた。 すると… 壁から 男性が出てきた。 私は その場で 腰を抜かして座り込んでしまった。 顔や首 など そこら中 やけどで皮膚がめくれていた。 私は 冷静を装い… 「ここで 亡くなったんですか? やけど されたんですね…」 私が言うと 男性は 私の目を見た その瞬間から 私は 動けなくなり 男性が死に至るまでのことが 頭の中に飛び込んできた。 男性は 職場で イジメに合い 自宅で 石油をまいて 自殺を試みた。 が 失敗。 救助された。 全身やけどで… その時 両親から 「なんてことしてくれたんや 家も丸焼けやし 死にたいんやったら 他で死ねばよかったのに… こんなきちゃない顔で どないするん」 と言った。 そして… 結局 意識戻らないまま 亡くなった。 私は 涙が止まらなくなった 「いろいろ つらかったんですね… もう 大丈夫。」 私が言うと 男性はスッと消えた… と 同時に私も 動けるようになった。 私は 病室に戻り 退院の用意をし始めた。
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