白い壁

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隣の部屋から 怒鳴り声が 聞こえる カンカンと何かを叩く音が聞こえる。 廊下で キーキー泣き叫ぶ 女性… 何なん?ここ… 私は ひたすら 部屋に閉じこもった。 ママは 毎日 私のそばにいてくれた。 夜にはパパも来た。 修次も 毎日… パパとママが 帰り 修次もいつも帰る。 でも 修次は 立とうとしなかった。 「オバチャン 俺 今日は 凛とおっていいかな…話あるねん」 ママは うなずき パパと二人帰っていった。 修次は しばらく 黙っていたが 「凛…俺な 好きな子いてるねん 何かなぁ…いつも 守ってあげたいねん…どう思う?」 「何が? 私に その未来を見てほしいってこと?」 正直 苛立った。 私が 見るのがいやで苦しんでるのに… そう思った。 でも 私は 修次を見た。 修次の過去も現在も未来も 頭の中も 全部 私がいた 「修次 わからん…好きな子の 姿が見えへん…」 「えっ?俺の心 空っぽか? んなわけないやろ~ ちゃんと 見てや」 「いや 見てるんやで…」 「何でやねん…」 小さい声で 言った 「何で 何も 見えへんねん! ずっと 凛のことしか 考えてないのに 自分が無力で 何もしてやれんで…それでも 凛を救うことしか 考えてないのに… 何で 何も 見えへんねん…」 修次は 涙を浮かべて言った。 私は どうしていいかわからず 黙っていた 「利香とケンカになって…それでも 俺は そばにいてたし 凛の言うことも 全部 信じてるし… 疑ったこともない。何で ずっと おるのに 俺に できることは ないんか…」 私は 涙が 溢れてきた。 「修次 ありがとう…」 修次は 私のベッドに座り 私を抱きしめた。 ドキドキした自分にビックリした。 修次の顔が 近づく 私は 黙って 目を閉じた。 修次の唇が 私の唇と重なった。
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