先輩と後輩

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先輩と後輩

雫の以外な一言に、弥代は少し戸惑っていた。 呪われていると言うのに、呪っている相手と話がしたいなんて、弥代には、意味がわからなかった…。 戸惑いながらも弥代は続けた。 『私は、あなた達を呪っているのよ?もう21人も犠としていただいた。それでもあんたは、怖くないって言うの⁉』 と。 その質問に雫も応えた。 「怖いけど、私は逃げたりしない。おじいちゃんがしたことは、許されない事だけど、その事で、私が死ななきゃいけないのはおかしいと思う。中嶋先輩のお母さんが、死んでしまったのは、天国でおじいちゃんが裁きを受けているはずだし…、先輩がこの学校を呪う理由は、ないんです‼先輩が死ぬ必要も…、なかったと…思います…。」 と。 死を目の前にした雫は、不思議だった。一年生の自分が、なぜこんな理論的な事を言えるのか…。 その時だ、中嶋弥代とは別の女性の優しい声が聞こえた ‘あなた方に、生きることを命じます。中嶋弥代、あなたは、この学校をちゃんと卒業なさい。あなたの死は、なかったことにいたします。そして、名取雫とそのクラスメイトたちを元の世界へ戻し、学校にかけられた呪いを解きます。いいですね。’ その声は、弥代と雫に優しく語りかけ、呪いを解いて、静かに消えた。
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