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   「本当に悠貴は可愛いね」  ホテルのレストランで食事をしながら、目の前に座っている男が僕の容姿を褒める。  「あのね、男に可愛いはないでしょ」  「そうかな?パパは悠貴が可愛くて仕方ないんだけどなぁ~」  歪んでる……。  もうすぐ高校2年になる男を捕まえて、可愛いはないだろう…。  「だってパパ、仕事が忙しくて、なかなか悠貴に会えないんだもん。こうやって顔見るの久しぶりだし」  確かに。  毎日電話で話はしても、こうして一緒に食事をするのは2ヶ月振り。  「そうだけど、仕事忙しいんでしょう?無理しなくても良かったのに」  「子供はそんな事気にしない。パパが会いたかったんだからね」  そう言われると、何も返せない。  「ほら食べなさい。冷めると美味しくなくなるよ」  「うん」  目の前に置かれた皿からは、湯気とともにいい香りが漂ってくる。  空腹だった僕は、早速料理に手をつけた。  「ごちそうさまでした」  パパの分のデザートまで貰った僕のお腹は、ようやく満たされた。  「そんなちっちゃな身体なのに、よく食べたね」  しみじみと呟くパパを、僕はおもいっきり睨みつける。  「怒っても、悠貴は可愛いね」  全く効果なし。  確かに横に並ぶパパに比べたら、平均身長もない僕は小さいけど、口に出さないで欲しかった…。  
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