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子供は首を横に振ると静かに答えた。
レイトは「そうですか…」と答えると何か考え始めた。
そして閃いた、とばかりに指を鳴らした。
「目が見えなくても元気に歩き回れるように…宵の中を馳せると書いて『宵馳』なんてどうでしょうか?」
「ヨイ…チ?」
「えぇ、貴方の名前です。」
「それよりポチがよくねぇか?」
レイトの言葉に嬉しさを見せる子供。
しかしそんな表情などお構い無しにブライトが『ポチ』を押してきた。
ポチと宵馳で言い合いを始める二人。
オロオロとしていた子供は意を決したように叫んだ。
「俺!!!…宵馳が…いい」
注目された恥ずかしさからか徐々に小さくなる声。
レイトは顔を輝かせ、ブライトは見るからに不機嫌になっていった。
「ほらやっぱり!宵馳の方がいいですよねぇ」
「う、うん」
「絶対ポチの方がいいのに…」
「諦めなさいブライト」
宵馳と名付けられた子供の手を取り喜ぶレイト。
ブツブツと文句を言うブライトを宥めるとレイトは宵馳に向き合った。
「では宵馳…先ずは貴方の服を用意しないといけませんね。」
「…いらない」
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