file.02 小野塚 香

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 好きだとか、愛してるだとか、永遠に一緒にいたいだとか。  そんな曖昧なもの、俺には関係なくて、縁の無いものだと思っていた。  昔からそれは変わらなくて、隣で眠る小さな女の子が、とても哀れに見える事もあった。  こんな男の、何処が良いのだろう。理解困難。  そういうのって、お互いに与え合ってこそ幸せを感じられるものでは無いのだろうか。理解不能。  一年近く前。まだ俺が中学三年生だった頃、一人の女と交際していた。  肩に掛かるか掛からないかの茶色がかった髪をした、ごく普通の女だった。
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