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「……あ……」
ふと視線を向けた先に、ある人物の姿を見咎(みとが)めて、彼は小さな声をもらした。
「……久しぶりだな」
立っている彼のそばまで歩み寄り、微かな笑みを浮かべたその人――。
「久しぶりだね、孝也(たかや)」
孝也を迎えた彼――一樹(かずき)も、目を細めて応えた。
「来てくれて嬉しいよ」
「ひょっとして、来ないと思ったのか……?」
「まぁ、それもあり得るかなと。でも、本心は来てもらいたかった」
「……こんな手紙もらったらな」
そう言って、孝也はコートのポケットから一通の封筒を出し、中の紙片を取り出した。
「“朽木(くつき)孝也様。伝えたいことがあるので12月25日、22時に丸の内○×ビル前で待ってます”」
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