ずっと一緒に・・・

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そんなことを屋上で思い出しながら、何とも言えないやるせなさで拳を握り歯を食い縛った。誰を恨むわけにもいかないので、余計に心が苦しかった。 しばらく屋上で美奈との思い出を回想していると、バイトに行く時間になった。美奈が発病する前から美奈と遊ぶためのお金を稼ぐためにはじめたバイトだ。 もうすぐやめようと思う。目標額まではあと少しだから、、、。美奈に最後の贈り物を買うためのお金、、、。 次の日もその次の日も、俺は毎日美奈の元に通った。そして10日間が経った、、、。その日もいつもと同じように、いつもと同じ時間に、美奈の病室を訪れた。最近、病状は悪化していない。このまま美奈は生き続けてくれるんじゃないか?などと思ったりしている。  しかし、それは俺の思い込みだった。俺が訪れる時間には必ず起きていてくれるから、そう錯覚していたのだ。実際は美奈が起きていられる時間は俺といる時だけになっていた、、、。 そして、、、 「美奈、入るぞ」 ノックも美奈の返事も待たないで俺は扉を開けた。 俺はDVDの入った袋を床に落とした。やけに静まり返った病室にその音だけが響く、、、。 美奈は、、、起きていなかった、、、。
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