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「美奈、、、」
急に現実が襲い掛かってくる。美奈は死に刻一刻と迫っている、、、。
時間がない、、、後何日もつのだろうか?震える手で床に落ちた袋を拾う。そしてベッドの脇の椅子に腰を掛けた。
恐る恐る美奈の顔に手を当ててみる。
「温かい、、、」
少し気持ちが落ち着いた。まだ美奈は生きている、、、。
どれくらい経っただろうか、、、。
「ん、、、あれ?もう来てる、、、」
美奈が目を開けた。体を起こそうとしたがうまく力が入らないようだ、、、しょうがなく、顔だけ俺のほうに向けた。
「おはよう。今日は少し寝坊したな」
俺はいつものように作り笑顔を見せる。
「今日借りてきたのはな、、、」
「映画はもういいよ、、、それよりお話しよ」
笑ってそう言ってきた。「私ね、、、なんでだろ?すごく眠いの、、、起きたばかりなのに、気を抜くと意識がどっか行っちゃいそうなの、、、だから今のうちにいっぱい声を聞かせて、、、」
「美奈、、、」
「私ね、眠っている時いつも懐かしい夢を見るの、、、私と君が出会ってから今までにあった色々なことの夢、、、すごく幸せなの、、、」
そう言って美奈は力なく笑う。
「そっか」
「でも、最近は暗いの、、、夢の中に君がいないの、、、すごく冷たくて暗い夢、、、」
俺は黙って美奈の手を握った、、、俺の手よりも遥かに冷たかった。
「恐いの、、、」
「ずっと俺が傍にいてやるよ」
手を強く握る。絶対離したくない。
「約束だよ、、、信じてるからね、、、今日はいい夢見れるかな?」
しばらく経って美奈は眠ってしまった、、、。静かに寝息を立てて、、、。
時間がない、、、。
今日は屋上には上らずに、貯金を全部おろして宝石店に向かった。
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