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病院の一室の前で足を止める。深呼吸をして気持ちを沈める、、、。
「美奈、入るぞ」
「ど~ぞ~」
明るい声が病室から返ってきた。美奈の明るい声を聞くと胸が締め付けられる。辛くて無理して作っている笑顔が崩れそうになる。だが、無理矢理笑顔を作って病室に入る。
「元気か?」
「まぁね~」
美奈、、、俺にとってかけがえない一番大切な存在。
俺が落ち込んでいるときは何も言わないで一緒にいてくれた、俺が泣いていた時は一緒に泣いてくれた。
今の俺があるのは、目の前にいるこいつのおかげだ。
俺の“妖精”って、こいつのことだろうな
「今日は何の映画持ってきてくれたの?」
「ああ、今日はな、、、」
TUTOYAで借りてきたDVDを美奈に見せる。
「さっそく観ようよ~。今日は私気分いいから最後まで観れそうだよ」
そう言って、ニコリと笑顔を見せてくれる。
美奈はいつも途中で寝てしまう。でも、それはしょうがないこと、、、。入院してから約半年が経ったが、最後まで起きていられたためしがない。最近では、寝てる時間のほうが多くなってきている。
でも、、、それでも、俺がお見舞いにくる時間には必ず起きて待っていてくれる。だから俺も必ず決まった時間にここに来るようにしている。
美奈の睡眠時間の増加、、、それが何を意味するかは、医者や美奈の両親から聞かされて知っていた。
睡眠を多くとっておかないともう体が耐えられないらしいのだ。
保ってあと半年、、、
俺と美奈に残された時間はあとわずかだ、、、
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